肝炎情報センター

              非加熱剤で52%がC型肝炎                   











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 非加熱血液製剤による肝炎感染問題を調査してきた厚生労働省は6日までに、血友病治療以外で投与が確認された患者のうち52%がC型肝炎ウイルスに感染した疑いがあり、30%近くが現在も感染しているとする中間報告をまとめた。非加熱製剤によるC型肝炎の感染が、血友病患者以外にも広がりを持つ深刻な"薬害"だったことが、改めてわかった。

 国内には現在、血友病以外の治療で非加熱製剤を投与された人は1000人以上いると推定されてきたが、今回の調査で投与歴が確認されたのは約400人にとどまっており、継続調査が急がれる。

 厚労省は昨年3月、肝炎の感染リスクが高いとされる非加熱製剤を使用していた約800の医療機関名を公表し、投与された可能性のある人に肝炎検査を呼びかけるとともに、感染状況の実態解明を進めてきた。

 この呼びかけに応じて検査を受けた人は、全国で計9680人。中間報告では、すでに調査結果が確定した9214人について分析した。

 それによると、非加熱製剤が国内で出回っていた1972―88年に、投与が確認された人は404人で、全員にC型肝炎ウイルス(HCV)感染歴の有無を調べる抗体検査を実施したところ、52%に当たる210人に陽性反応が出た。

 また、404人のうち365人について、精密検査(HCV核酸増幅検査)を実施したところ、30%に当たる109人が、現在もHCVに感染していることが確認された。残る39人は本人の希望などで精密検査を受けなかった。

 抗体検査と精密検査で差が生じていることについて専門家は、「すでに体内からHCVが消え、抗体だけが残っているケースがある」などとしている。

 非加熱製剤をめぐっては、投与された血友病患者の約4割がエイズウイルスに感染し、その約9割がHCVに重複感染していたことがわかっているが、血友病以外の治療で非加熱製剤が使われた患者については、これまで実態が不明だった。

 本来、血友病の治療薬だった非加熱製剤は、止血効果が高いことから、新生児の出血症や交通事故の手術などで幅広く使われていた。国内では肝がんや肝硬変で年間約4万5000人が死亡しており、このうち8割がC型肝炎からの移行とされる。早期発見と適切な治療で約3分の2の患者が肝がんなどへの移行を防ぐことができる。

 読売新聞 2002年3月7日