厚生労働省は、C型肝炎の治療に使われる抗ウイルス剤「インターフェロン」について、医療保険の適用制限を撤廃することを決めた。9日までに、都道府県などを通じて医療関係者に通知した。これまでは、投与期間が事実上半年間に制限されており、医療関係者の間では、治療の継続性に支障が生じる恐れがあると指摘されてきた。国内では肝がんや肝硬変で年間約4万5000人が死亡しているが、その約8割がC型肝炎からの移行とみられており、専門家は「肝がんに移行する人を確実に減らすことができる」と期待している。
国内のC型肝炎ウイルス感染者は200万人以上といわれる。インターフェロンは、肝炎のタイプによっては、ウイルスを減らし、肝臓がんへの移行を遅らせる効果があることが知られており、現在、もっとも有効な治療薬とされる。
しかし、長期投与の実績が少なく、副作用もあることから、これまでは原則として半年の治療期間しか保険が適用されなかった。2000年4月からは、感染したウイルスの遺伝子型や量などの条件付きで、さらに半年間の再投与にも保険が適用されるようになったが、実際に適用される人は限られていた。また、半年間投与すると200万―300万円の費用がかかるため、自費での治療継続には負担が大きく、事実上長期治療の道は閉ざされていた。
同省では「これまでの治療実績の積み重ねから、インターフェロンを使った治療を続けるかどうかは、医師と患者の判断に任せることにした」としている。また、保険上の制限がなくなり、使用する患者数の増加も見込まれるため、同省ではインターフェロンの薬価引き下げも検討している。
日本肝臓学会理事を務める飯野四郎・聖マリアンナ医科大教授の話「インターフェロンは、分量を調節して長期間投与することで、肝臓がんの発症を抑制できる。肝臓がんによる死者数は、10年以内に目に見えて減ってくるだろう」
読売新聞 2002年3月10日
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