肝炎情報センター

                    肝炎対策で有識者会議が報告書











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国民一般とハイリスク集団に分け

 肝炎対策に関する有識者会議は30日、今後の肝炎対策などを盛り込んだ報告書を取りまとめた。この報告書では今後の対策として、感染率の高い集団への対策や国民に対する普及啓発を最重要課題とし、同会議では厚生労働省に対して、報告書に盛り込まれた意見や提言を踏まえ、適切な対策を行なうことを要望している。

 わが国のC型肝炎持続感染者は、200万人前後と推定されているが、本人が感染していることを自覚していない場合が多いことや、感染者の中から肝硬変や肝癌へ移行する者があることも分かってきた。こうした状況の中、昨年の11月に有識者会議の初会合が開かれ、今回を含め5回の会合が開かれ、この間、患者団体、学会、研究者、地方行政機関などから意見聴取を行ない、これまでの肝炎対策を総点検すると共に、将来的な対策について検討を進めてきた。

 今回の報告書は、「肝炎対策の検討等」、「肝炎に関する基本的な知見」、「これまでの肝炎対策」、「今後の肝炎対策」の4章で構成され、今後の対策では、「国民一般への対応」と「感染率が一般より高いとされる集団への対応」に分けて提示している。

   必要な相談・医療を受けられるよう−国民への対応

 国民一般への対応では、普及・啓発の重要性を挙げ、正しい知識の普及と共に、感染者が自身の感染状況を認識し、必要な相談指導や医療を受けられるよう、広く呼び掛けることを指摘している。そのために、国民に向けてC型肝炎に関するQ&Aを作成し提供することが必要とした。

 さらに、行政担当者や医療従事者には、学術団体、関係機関が作成した検査指針や治療指針を提供すべきとしている。これらの情報については、政府広報やポスターのほかに、インターネットや肝炎週間等の機会を活用し、国民が入手しやすい形で提供できるような工夫を求めている。

また、感染者の相談に応え不安の解消に努めることが、スクリーニング検査や診療へと結びつくとして、医療機関を中心に、保健所や市町村保健センターなどを活用した相談指導の必要性を指摘している。 このほかスクリーニング検査の活用、HCVキャリア成立の機構解析とウイルス排除法の開発、新しい治療法の導入、普及、治療体制の整備などが挙げられている。

   感染経路の遮断と新規感染の防止−感染リスク集団への対応

 一方、感染率が一般より高いとされる集団として、@輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与された人、A@と同等のリスクを有する非加熱血液凝固因子製剤を投与された人、B長期に血液透析を受けている人C臓器移植を受けた人、D平成4年以前に輸血を受けた人、Eフィブリノゲン製剤を投与された人、F大きな手術を受けた人、G薬物濫用者、入れ墨をしている人、Hボディピアスを施している人、を挙げている。

 そして@〜Cの集団に対しては、既に医療機関などで感染の有無が確認され、適切な治療を受けているとし、今後は感染経路の遮断を徹底し、新規感染の防止を図るべきとした。 D〜Hの集団に対しては、C型肝炎ウイルス感染の可能性について必要な相談指導や医療が受けられるように、地域の実態も踏まえながら普及啓発などの対策を充実強化して支援していく必要性が指摘された。

薬事日報 2001年3月31日