肝炎情報センター

                    新生児治療でC型肝炎











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1980年代前半に新生児治療で投与された輸入非加熱製剤により、静岡県内の総合病院で8人がC型肝炎ウイルスに感染していたことが29日、明らかになった。当時の輸入非加熱製剤のほとんどに肝炎ウイルスが混入していたと見られ、病院側は同時期に製剤を投与した患者約40人に肝炎検査を呼びかける文書を送付した。本来、血友病の治療薬である血液製剤は、新生児治療や交通事故の治療などで止血剤としても幅広く使われ、厚生省の調べでは少なくとも2千6百人あまりの血友病以外の患者に投与されたことが判明している。専門医は「早急に全国調査を実施すべきだ」と国の対応を強く求めている。

 8人の感染が確認されたのは、この病院で新生児の時に腹部手術を受け、非加熱製剤を投与された男子大学生(20)が今春、C型肝炎ウイルスに感染していることが判明したことがきっかけだった。

 非加熱製剤が原因と判断した同病院は、80年代前半に血友病以外の治療で非加熱製剤を投与した患者のカルテなどを調べ、約50人をリストアップ。このうち7人がすでに肝炎の治療を受けていることが分かった。いずれも新生児の時に同じ製剤が使われていた。

 同病院は残る四十数人についても感染の可能性があると見て、肝炎検査を勧める文書を今月二十四日に送った。

 当時の輸入非加熱製剤は、千人以上もの血液をプールして作っていたため、ウイルス混入の危険性が高く、血友病患者の四割がエイズウイルスに、約九割がC型肝炎ウイルスに感染した。

 一方、非加熱製剤が血友病以外の治療に使われ、エイズウイルスに感染したケースは、「第四ルート」問題として注目され、96年に厚生省が全国の病院を通じて投与患者約二千六百人を割り出し連絡の取れた約四百人にエイズ検査を実施した。しかし、より感染の危険性の高かった肝炎については、厚生省は追跡調査をしていない。

 今回感染が判明した八人も、当時「第四ルート」の調査対象で、エイズ検査を受け、感染していないことが確認されていたが、肝炎検査は受けていなかった。

 同病院の病院長は「第四ルートの検査時にはエイズのことに集中し、肝炎検査まで考えなかった。今は一刻も早く適切な治療が受けられるよう全力を尽くしたい」と話している。

 C型肝炎に関する厚生省研究班の飯野四郎・聖マリアンナ医科大教授は「非加熱血液製剤の肝炎感染の可能性は輸血よりはるかに高い。厚生省も医療機関も、早急に全国的な検査を呼びかけるべきだ」と訴える。

 厚生省は「当時はエイズウイルス感染者を早く見つけることが社会的な要請だった。これからC型肝炎の検査をするか検討の余地はある」としている。