肝炎情報センター

                    C型肝炎に総合対策











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 国内の感染者が少なくとも2百万人以上と推定されるC型肝炎について、厚生省は1日、大臣官房、保健医療局、医薬安全局などで構成する異例の合同プロジェクトチームを設置、総合的な肝炎対策に乗り出すことを決めた。静岡県内の病院で1980年代に非加熱製剤を投与された非血友病患者9人が肝炎ウイルスに感染していた問題を重視しての措置。年間3万人を超え、肝がん死亡者の7割以上はC型肝炎の感染者で占められるが、感染に気づかず、手遅れとなるケースも多い。同省は、C型肝炎を中心に、感染者の多さから「第二の国民病」と言われる肝炎全般について早期発見・治療などの態勢作りなどを早急に検討する。

 プロジェクトチームのメンバーは、関連する五つの局と官房の担当課長ら13人。この日の初会議では今月中に専門医らで構成する有識者会議を設置し、その意見を踏まえてC型肝炎のほか、国内に百数十万と推定されるB型肝炎も含めた肝炎全般の予防・治療研究や、知識の普及啓発の方法などについて、緊急に対策を打ち出すことを決めた。静岡県で判明したケースのように、血友病以外の治療で非加熱血液製剤を投与された患者は、これまでに少なくとも約2千6百人いることが分かっている。

 しかし、4年前に厚生省がエイズウイルス感染の恐れがあるとして、エイズ検査を呼びかけたが、肝炎検査は行わなかった。このため、同省はこれらの患者について肝炎検査の実施方法などを早急に検討する。

 C型肝炎ウイルスの検査ができるようになったのは十年前からで、現在は献血時に検査が行われ、血液製剤も安全な加熱製剤に切り替わっている。しかしそれ以前は輸血などによる感染者はかなりの数に上るとみられるものの、実態は全くわかっていない。

 C型肝炎の感染者が4百万人いるという米国では、92年7月以前に輸血を受けた人を対象に肝炎検査を呼びかける大規模なキャンペーンを昨年から展開。プロジェクトチームでは、米国の例を参考にしながら、感染の可能性が高いグループへの検査を呼びかけることなども検討する。

 さらに海外で用いられている効き目の高い治療薬の早期導入や、現在最も効果があるといわれるインターフェロンの使用方法の改善など治療方法も協議する。

 

読売新聞 2001年11月2日