肝炎情報センター

          
                治癒後もウイルス残り、2次感染の可能性
      







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 急性B型肝炎が治った後も、ウイルスが血中に残るケースがあることが、国立病院大阪医療センターの結城暢一・消化器科医長らのグループの調査で分かった。本人の健康に影響を与える可能性はほとんどないレベルだが、献血での検査をすり抜けて2次感染させる可能性があり、輸血の際の安全管理体制などに影響を与えそうだという。
 グループは、発症から約2〜9年過ぎて、肝機能が回復し、治ったとみられる急性B型肝炎の元患者14人を検査した。その結果、3人の血液から、1ミリリットル当たり770個、同1300個、同2万4000個のウイルスがそれぞれ見つかった。また、肝臓の組織の採取に同意した9人全員の肝臓組織からもウイルスを検出した。

 急性B型肝炎は体内にウイルスを攻撃する抗体ができれば治ったとされる。しかし、生体肝臓移植の際に、急性B型肝炎が治った提供者から移植を受けた患者に感染することがあり、医療関係者の間で「肝臓にはウイルスが残る場合がある」と言われてきた。

 結城医長は「急性B型肝炎に感染したことがある人らは、献血の対象から除いたり、血液を使う場合ウイルスを不活性化する措置などが必要だ」と話している。【関野正、今西拓人】

 京都大医療技術短期大学部の福田善弘教授(肝臓病学)の話 輸血後にB型肝炎に感染するケースはまれに報告があり、「原因がよく分からない」とされてきたが、献血の検査の精度以下の微量のウイルスが残っていたのかもしれない。献血の際の検査態勢や、輸血の際のインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)のやり方に検討が必要かもしれない。
毎日新聞2003年8月17日