肝炎情報センター

          
              出荷直前のブタ90%に
        E型肝炎感染歴…自治医大調査
          
      







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 出荷時期に達したブタの90%にE型肝炎の感染歴があることが、岡本宏明・自治医大教授らの全国調査で明らかになった。

 いずれも、すでに体内からE型肝炎ウイルス(HEV)は消えていたが、より若いブタからは高い頻度でHEVを検出、人間の患者から検出されたものとほぼ一致するHEVも見つかった。岡本教授らは「ウイルスが増殖、維持される『宿主』として、ブタに注目する必要がある」と指摘する。HEVそのものは出荷時のブタから検出されておらず、食用豚肉は安全という。

 岡本教授らは、全国25か所の養豚場で計2500頭分から採取された血清を分析。その結果、過去にHEVに感染したことを示す免疫物質(抗体)の検出率が、生後2か月のブタは7%なのが、同3か月は40%、出荷が近い5―6か月のブタでは90%に上り、発育するにつれ次々と感染している実態がわかった。

 抗体ができれば2度とHEVに感染しないため、ウイルスそのものは、生後6か月のブタからは見つからず、同3―4か月のブタの15%程度から検出された。ウイルスの遺伝子は農場ごとに違ったが、北海道内の1頭のHEVは、1997年に札幌市内で発病した男性患者のウイルスと遺伝子の99%が一致した。

 岡本教授らは「ブタと人間を結ぶ何らかの感染経路があるはず。ブタの感染率は全国的に高いが、人間の患者は北日本に多いといった特徴も見られ、感染経路の解明が待たれる」という。

 読売新聞2003年6月4日