肝炎情報センター

                    [大いに学ぶ]注意しましょう C型肝炎ウイルス
                50歳以上に多い感染 /岡山













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  血液製剤などによる感染が問題になっているC型肝炎対策として、先月、厚生労働省は老人保健法に基づく「基本健康検診」で実施するC型肝炎ウイルス(HCV)検診を40歳以上の感染が心配な人全員を対象とする方針を示した。全国に200万人いるといわれる感染者。その多くは自覚症状がなく、肝硬変や肝がんに進行する。玉野市民病院の木村文昭・主任内科医長(50)は「感染者は50〜64歳に多く、全国的に見ても岡山・広島は多い。早期に発見すればHCVを消すか炎症を抑えることで進行を十分に遅らせることができる」とHCV検診を呼びかけている。

 C型肝炎とは、HCVという目に見えない非常に小さな病原体が体の中に入って引き起こす病気です。HCVが肝臓の中に入り込むと、HCVを排除しようと炎症が起こります。その炎症によって、多数の肝細胞が死に、きれいに修復される場合と修復がうまくいかない場合があります。急性肝炎は、きれいに修復されますが、慢性肝炎は肝細胞の死と再生が繰り返され遺伝子レベルで変化が起き、肝がんの発生につながっていきます。

 HCVの感染経路として、輸血が全体の約40%と最も多く、血液製剤、HCVに汚染された注射針、入れ墨や覚せい剤の回し打ちでも感染します。セックスでの感染はB型肝炎とは違い感染率は非常に低いようです。

 通常、C型肝炎に感染した後、約2カ月前後で急性C型肝炎になり、半数以上で体がだるくなったり、食欲不振、黄疸(おうだん)などの症状がみられますが30%の人は治癒します。残り70%の人は慢性化し、自覚症状が無いまま10〜30年の歳月を経て、その約30〜40%が肝硬変へと進行し、C型肝硬変からは毎年7%が肝がんに進行します。

 また、毎年1万〜1万5000人に死をもたらす肝硬変の大部分や、毎年3万人以上に死をもたらす肝がんの70〜75%はC型肝炎から進行した患者です。

 慢性C型肝炎の治療法として、インターフェロン(IFN)療法や昨年、保険で認められた抗ウイルス薬(リバビリン)があります。これらで約40%以上の患者さんが治ることが期待されています。

 また、治らなかった場合やIFNの副作用が怖かったり、経済的余裕がなくて治療に踏み切られない患者さんには別の方法もあります。治してしまえなくても肝炎の炎症を抑え込んで病気を進行させない治療法です。

 従来は、グリチルリチン、ウルソデオキシコール酸、小柴胡湯などの治療薬を使ってました。しかし、これらだけでは病気の進行を抑えるのに不十分な場合もあります。そこで、1回に200CCの血液を採血し廃棄をする「しゃ血療法」と、食事中の鉄分の取り過ぎを抑える「鉄摂取制限療法」の二つの方法が登場しました。この二つを併用することで、大きな効果を発揮し、安全性も高く、安価でいつでもどの医療機関でも実施することができるようになることが期待されています。

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 今年度から県内全市町村で「HCV検診」が実施されることになった。問い合わせは、県健康対策課(086・226・7328)へ。
(毎日新聞)[2002年5月11日]