肝炎情報センター

                    薬害肝炎、40歳以上の希望者全員検査








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 血液製剤「フィブリノゲン」による薬害肝炎問題で、坂口厚生労働相は9日、現在40歳以上で、出産や手術などで同製剤が使われた可能性の高い人や希望者全員を対象に、老人保健法に基づく「基本健康診査」(基本健診)でのC型肝炎ウイルス(HCV)検査を実施する方針を明らかにした。

 フィブリノゲンを投与された人は、1980年以降だけで28万人と推定されている。フィブリノゲン製剤による肝炎被害が問題となる中、肝炎感染の早期発見が重要と判断、5歳ごとの節目検査以外の年齢でも緊急検査を受けられるようにした。自治体の受け入れ態勢が整い次第、来月にも始める。

 基本健診は、企業健診を受ける機会のない主婦や自営業者などの40歳以上の人が毎年受けられる。自己負担分を除いて、国、都道府県、市町村が3分の1ずつ検査費用を負担する。

 厚生労働省では今月から、40歳から70歳まで5歳刻みの「節目」の年齢の人や、「節目外」でも、基本健診で肝機能に異常が見つかった人を対象に、基本健診の中でHCV検査を行っている。

 しかし、最近になって、フィブリノゲン製剤によるHCV感染問題が浮上。同省は急きょ、同製剤の投与を受けた可能性がある人について、節目以外の年齢でも検査を受けられることにした。
 今回の緊急対策での対象者を含め、同省では、年間約200万人以上が基本健診でHCV検査を受けるとみている。

 フィブリノゲン製剤による感染が疑われる人は、大部分が40歳以上と見られる。HCV検査は、35歳以上を対象とした政府管掌健康保険の健診でも今月から導入されているが、坂口厚労相はこの日の会見で、「こちらも、(基本健診と)同様に節目以外の年齢でも検査を受けられるようにしたい」と述べ、政管健保でも緊急対策に乗り出す方針を示唆した。

 フィブリノゲン製剤は、出産や事故などで大量出血した際に止血剤として使われたり、外科手術で臓器などの組織を接着する「フィブリン糊(のり)」などとして使用された。約1万人がHCV感染したと推計されているが、同製剤を使用されたことを認識している人は少ないとみられている。

 読売新聞 2002年4月9日